“仕立てがダメなら全てダメになってしまう。
着る人や反物作った人の想像よりも良い物を造らないと納得されないからね。
求められた以上の結果を出さないとダメなの。”

糸澤 昭雄
Akio Itozawa

労働省技能検定一級技能士
きもの工芸
171-0011 豊島区池袋本町4-21-14
☎︎03-3984-0458

<<和裁豆知識>>

一般に長さの単位はメートル法にのっとってセンチメートルですが、和裁に使われる長さの単位は“鯨尺”といいます。1959年(昭和34)以後は、鯨尺の製造は、メートル法による統一のため禁止されましたが、放送作家の永六輔(えいろくすけ)らの運動によって1977年に、鯨尺本来の単位目盛りを用いずにメートル法で表記するという条件で復活しました。

1尺=37.8cm
1寸=3.78cm
1分=0.378cm

思い出の着物をインテリアに
〜和装をしない現代における着物の提案・ミニチュア和服〜

 現代の日本では、和服を日常着として着る人は珍しくなってしまいました。それでもかつては日常に切られていた衣服。お祖父さんやお祖母さんから受け継いだ着物がタンスの中に 一杯あるなんてことは珍しくはありません。和服生地は、友禅や染物、絞りと、反物として  仕上げられるだけでも、多くの職人の手が仕上げた大変貴重なものが多く、海外でも古くから大変珍重されています。近年では、日常として着られることのなくなった和服が、貴重な生地として取引され、一時は海外へも多く輸出されていきました。そのような社会背景の中、家族が大切にしていた着物を思い出の形にして残すことはできないかと、糸澤さんは、伝統の和裁技術を活かし、飾る和服として「ミニチュア和服」を考案されました。

この「ミニチュア和服」は、反物から作られるのではなく、一度、すでに仕立てられた和服の糸をほごし、友禅の様に図柄のある場合には、その良いところを活かして、飾りとしての小さな和装でも映えるように裁ち直し、紋付の場合には、紋の部分をそのまま活かして、1点もののミニチュア和服として仕立て直されます。
ミニチュアだからといって、表地だけで仕立てられているのではなく、裏地もしっかり仕立てられ、本物の和装と違わずに、同じ工程で仕立てられているのです。

「ミニチュア仕立てるのは、とっても楽しいの。普通の仕立てのように、着る人が 満足するか、反物作った人が満足してくれるかといった気負いがないからね。 柄を見て、仕上がりを想像しながら作るのは楽しい。でも今じゃいい生地もなか なか無くってね。皆さん、着ないからといって簡単に捨てないで欲しい。 だって この反物一つ作るのに、どれだけ職人が手を掛けてるか。友禅なんて一点ものだよ。 どれだけ大変な工程で作られるか分かってるだけに、とっても和服は捨てられないよ。」

〜庁舎まるごとミュージアム第五期解説より抜粋〜
**転載禁止**

⬛️ 作品 ⬛️ *写真クリックで拡大表示