江戸べっ甲の世界

至る所で桜が咲き始めましたね。開花を待ちに待ったにも関わらず、ここ数日は雨模様でせっかく咲いた桜も木から降りて水面に花を咲かせています。

豊島区庁舎5階・区長室前「まるごとミュージアム」の展示替えを致しました。

今月から5月いっぱいまでは
〜伝統を受け継ぐということ-江戸べっ甲の世界〜
宮本拓哉氏や先代の宮本正義氏(豊島区登録無形文化財)の作品などが展示されています。

“べっ甲リメイク”
古いべっ甲製品を新しい形、用途へとリメイクした製品です。古くなってしまって艶が無くなってしまったべっ甲も、こんな素敵に生まれ変わる事が出来るんですね!!お家に眠っているべっ甲製品があれば、ぜひ宮本工業へご連絡下さい。素敵な何かに変身するかもしれません!!
加工料:6,000円〜(材料は含まれません)
宮本工業有限会社
☎︎03-3917-2596

べっ甲製品というと、何となく彫り物をされていたり、それ自体が何かの形をしていたりして、べっ甲だけで完結しているイメージが強いのですが、それは大きな間違いでした。

皆さんは截金(きりかね)という伝統技術はご存知でしょうか?6世紀に仏教と共に大陸から仏像や仏画の加飾荘厳として伝えられた技法で、純金箔やプラチナ箔を数枚焼き合わせ、厚みをもたせたものを鹿皮の盤の上で竹刀にて細く線状、丸、四角などに切り、それを筆端につけて貼りながら文様を描き出します。

13世紀になる頃には唐草・つなぎ・七宝などの曲線文様なども加わり日本独自に発展を遂げた截金はその他の仏教美術とともにその頂点へと達しますが時代の流れとと共に衰退していきます。
東西両本願寺の庇護のもと少数の截金師により伝承されて来ましたが、近世以降は、その截金の技法を一般に広めるため、茶道具や工芸品に応用されるようになりました。

これが、6世紀より伝わるという截金技術を施されたべっ甲製品です。

一個たりとも同じ模様の出ないべっ甲に施された幾何学的、規則的な模様がとても素敵です。

5月末までは豊島区庁舎「丸ごとミュージアム」で実際にご覧いただく事が出来ます。ぜひお運びいただき、べっ甲の世界を堪能していただければと思います。

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